【ハリウッドスラング034】「木の実」から転じた「nuts」のいろいろな意味
今回のハリウッドスラングは、「nuts(ナッツ)」。英語には1つの言葉が時代と共にいろいろな意味へと変化していったものがあります。今回紹介するのは、「夢中になる」、「狂っている」という意味の「nuts」です。
ブリトニー・スピアーズ、昔は「nut(頭の狂った人)」と呼ばれたこともあります
使用例:
ジュリー:I am nuts about Robert Pattinson.
(私はロバート・パティンソンに夢中になっているの)
キャロライン:I know! You are watching Twilight all day and that is driving me nuts!
(知ってるわよ! あなたが『トワイライト』を1日中見てるから、狂いそうだわ!)
元々、「nut」は「ナッツ(木の実)」という意味だったのですが、19世紀のイギリスでその複数形である「nuts」が「~を大好きになる」、「夢中になる」という意味になりました。どうやら、「Sweet as a nut(木の実のように甘い)」という表現がその当時に使われていたことから、甘いイメージを持つ「nuts」が「大好きになる」という意味に変化したようです。そして20世紀初めのアメリカで、「nuts」は「大好きになる」だけでなく、さらにもっと大げさな意味である「狂っている」という意味を持つようになったようです。
実は「nut」の意味の変化にはもう1つの違う説もあります。「nut」は名詞だと「狂っている人」という意味を持つのですが、18世紀中頃に「nut」は「頭」という意味を持っていたようで、「off your nut(頭から外れいる)」という表現が「頭が狂っている」という意味で使われていたようです。そこから変化していき、「nut」が「狂っている人」になったらしいのです。
名詞の前に使う形容詞は、「nuts」ではなく、「nutty」を使います。例えば、エディ・マーフィ主演の『The Nutty Professor(ナッティ・プロフェッサー クランプ教授の場合)』(96)は、「狂っている教授」という意味です。でも「professor」は名詞なので、「The Nuts professor」ではなくて、「The Nutty Professor」なんですよ。
1つの言葉が時代と共に変化していき、違う意味を持つようになるというのは興味深いですね。ちなみに「nuts」には、「睾丸」の俗な言い方にもなりますので、使う時はお気をつけて!